BL14Uは200~1400 eVの軟X線を利用するビームラインです。ツインヘリカルアンジュレータによって、
左右円偏光を1分以下の短時間で切り替えることが可能です。分光器としては、円筒ミラーと
不等間隔刻線平面回折格子を組み合わせた定偏角型を採用しており、フレネルゾーンプレート光学系に
よってΦ100 nm以下に集光されたナノビームを利用できます。
実験装置として、軟X線磁気円二色性(XMCD)の測定機能を備えた軟X線イメージング(SXM)装置が
配置されています。軟X線イメージングの計測方法としては透過法と全電子収量法に対応しています。
金属薄膜の成膜やイオンミリングによる表面清浄化などの前処理も可能です。このSXMを用いることで、
様々な物質の元素や化学状態の分布をサブミクロンスケールで可視化することが可能です。
さらにXMCD測定を組み合わせることで、きわめて高感度に物質の磁気特性を調べることができるようになります。
33極・周期長56 mmの磁石列をタンデム配置させたツインヘリカルアンジュレータを光源とし、
回折格子分光器で単色化した軟X線ビームが利用可能です。
分光器の上流と下流にそれぞれスリットがあり、エネルギー分解能の調整や、走査型イメージングに
おける仮想光源として利用できます。
![]() 軟X線 Fe吸収コントラスト像 |
試料: 市販ネオジム磁石 処理: 熱消磁 測定時間: ~5 min. X線エネルギー: 708eV 観察範囲: 60 μm × 60 μm |
![]() XMCDコントラスト(磁区像) |
試料: 市販ネオジム磁石 処理: 熱消磁 測定時間: ~12 min. X線エネルギー: 708eV 観察範囲: 60 μm × 60 μm |
![]() XMCDコントラスト(磁区像) |
試料: ギベオン隕石 測定時間: 10 min. X線エネルギー: 708eV 観察範囲: 60 μm × 60 μm |
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試料: キチョウの鱗粉 測定時間: 25 min.(5 min.×5) X線エネルギー:708 eV 鱗粉を採取したキチョウの写真 鱗粉の光学顕微鏡像 |
元素マップは、各元素固有のX線吸収端エネルギーと、
その直前のエネルギーでそれぞれイメージを取得し、
これらの差分によって得ることができます。
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試料: 硬貨 測定時間: ~12 min. X線エネルギー:931 eV 観察範囲: 60 μm × 60 μm 硬貨の参考資料はこちら |
![]() 元素マップ(Cu) |
試料: 硬貨 測定時間: ~12 min. X線吸収端エネルギー:931 eV 観察範囲: 60 μm × 60 μm |
![]() 元素マップ(Fe) |
試料: 硬貨 測定時間: ~12 min. X線吸収端エネルギー:708 eV 観察範囲: 60 μm × 60 μm |
試料情報
試料 : 珪藻化石 Stephanodiscus sp.(推定)
産地 : 岡山県真庭市蒜山
時代 : 第四紀 更新世(約50万年前)
試料準備
① 水洗後、比重選鉱で上澄みを採取
② 無水エタノールで洗浄
③ SiNメンブレン上に滴下
④ 風乾後真空引き
![]() 珪藻化石の全体像 上と右の珪藻は一つの珪藻が上半殻と 下半殻に分離したものと推定される |
試料: 珪藻化石 |
![]() 珪藻化石の中央部の胞紋 |
試料: 珪藻化石 |
![]() 珪藻化石の外縁部の胞紋 |
試料: 珪藻化石 |
![]() |
試料: 市販ネオジム磁石 測定時間: 約40分 (偏光切り替え+磁場反転 4本1セット) X線エネルギー:約690 eV~770 eVの範囲 |