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BL08W XRD INFORMATION

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主な測定法(すべて標準測定)

  • 粉末X線回折
  • 二次元X線回折マッピング(PhoSICと事前相談必要)
  • 表面X線回折(PhoSICと事前相談必要)
  • In-situX線回折(PhoSICと事前相談必要)
  • 蛍光X線による元素マッピング

概要

汎用X線回折装置を有するハッチです。粉末回折用キャピラリースピナーと二次元検出器を用いて キャピラリー封入試料の粉末回折測定が可能です(標準測定)。メールイン測定も受け入れています。

また、汎用試料ステージに試料を置き、試料を水平・垂直方向に動かして各点で回折像を記録する 回折マッピングや、試料環境を変化させつつ回折像を測定するin-situ実験などが可能となっています。 試料環境制御のための実験装置はユーザー持ち込みとなります。使用できるガスはN2、CO2など無害 なものに限られます。表面X線回折は、粉末回折用のスピナーに試料を置き、角度を制御して測定を 行います。これらの測定については、ビームタイム予約前に事前相談をお願いします。

蛍光X線測定による二次元元素マッピングは、汎用試料ステージに試料を置き、試料を水平・垂直方 向に動かして各点で蛍光X線を検出して行います。

光源と光学系

5極マルチポールウィグラーを光源とし、Si結晶のブラッグ反射でビームを水平方向に分岐したブラ ンチです。 X線エネルギーは、Si(111)またはSi(220)のいずれかを用いることで選択します。 集光は ベントシリンドリカルミラーで行います。

ビーム特性

エネルギー 
17.5keV または 28.5keV
17.5 keVがデフォルトで、希望があれば 28.5 keVに対応します。ビームタイム予 約時にエネルギーを明記して下さい。
ビームタイム中のエネルギー切り替えは、他のブランチに影響する可能性がある ため行いません。
フラックス
蓄積リング電流200mAにおける実測値例
17.5keV 1.2x1011 cps
28.5keV 7.0x109 cps
ビームサイズ 
粉末回折計試料位置での実測値例
120 µm(水平)、70 µm(垂直)
ハッチの大きさ
約3m(光軸方向) x 約2m(幅) x 約3.3m(高さ)

実験ステーション

実験装置
【粉末試料用スピナー】
・試料―検出器間距離:約240~890mm
・測定レンジ 2θ<50度:(17.5keVではCuKα 133度に相当)
・試料はキャピラリーに封入。【 キャピラリー試料の準備方法例
・試料ホルダーは、SPring-8 BL19B2、あいちSR BL5S1と共通
・標準試料としてCeO2とSiが準備されています
・現在、回転軸はカメラを用いた手動位置合わせになっています。(自動位置合わ せ機構については検討中)
・データの一次元化ソフトウエアがいくつか準備されています。「リートベルト 法」をはじめ、解析用ソフトウエアはインストールされていません。リートベル ト法の適用につきましては、スタッフまでお尋ねください。

【大面積IGZOフラットパネル検出器】
 浜松ホトニクス社製C14406DK-2918


・検出面積:430mmx430mm
・画素サイズ:140ミクロン角
・蛍光体:直接蒸着CsI
・フレームレート:最高15fps(フルフレーム)
・ダイナミックレンジ:87dB

【汎用X-Zステージ】
 神津精機社製 XA07A-L202およびZA07A-V1F01


・試料―検出器間距離:約100~580mm
 (ラボジャッキによる高さ調整可能)
・実験ハッチ内から外まで3種類のケーブル(BNC1本、LAN1本、USB3本)をユー ザー用として通しております。ご使用の場合は予約時にお知らせください。
なお、特にUSBケーブル接続の場合には、ご使用になる機器により動作しない 場合も 想定されますので、予め御了承の上、必要な対策をご検討ください
・他の自動ステージ類も準備されています。使用をご希望の場合にはご相談をお 願いします

【蛍光X線分析および蛍光X線による元素マッピング】
 テクノエーピー社製 単素子シリコンドリフト検出器 XSDD30-01GRCL-ICF


・試料をX線に対して水平45度に傾けてX-Zステージに設置し、90度方向で蛍光 X線を検出します
・有効領域:28mm2
・ウィンドウ:グラフェン
・最大計数率:1Mcps
・冷却:ペルチェ素子

大気中で測定するため、蛍光X線の空気による吸収が生じます。したがって硫黄 より重い元素(主として遷移金属類)が測定対象となります。元素マッピングを 行う際にはX-Zステージで試料を動かすことで、X線で試料を走査します。各位 置での測定後に蛍光X線スペクトル(MCAデータ)を読み込みます。データの読 み込みと試料ステージの移動に必要な時間は、0.2~0.3秒です。各位置における データ蓄積時間は、対象とする元素の濃度に依存します。
元素分布の可視化のためのソフトウエアが準備されています。
上記のようにX線ビームの大きさが約100μmであるため、最高空間分解能も同程 度となります。

【その他】
試料位置合わせ用に、WEBカメラ、X線と同軸のレーザーが利用可能。

レイアウト

スピナー使用時
検出器を最も近づけた状態
In-situ実験時
(検出器を最も離した状態)
および蛍光X線測定時

測定例

Siの粉末回折
パターン
28.8keV
試料-検出器間距離 235mm
5秒露光




※フラットパネル検出器によって得られた粉末回折データのリートベルト法によ る解析については検討中です。(詳細はスタッフまでお尋ねください)
蛾の翅の蛍光X線
元素マッピング
17.5keV
水平71μm
垂直100μmステップで水平300点
垂直110点(総計33,000点)をマッピング
各点1秒蓄積
総測定時間660分